安住
おはようございます。
暮らし、味わう。
民藝と発酵をモノサシに
食を通して暮らしの豊かさを提案する
古民家セレクトショップ&カフェ テマヒマ
プロデューサー,バイヤーの太田 準です。
前兵庫県民芸協会会長で、木工の作り手の笹
倉徹さんからご縁を頂き、テマヒマで書籍
「丹波布復興の父 金子貫道」(滝川秀行著)
を販売しています。
最近、雨が降っても、晴れても、お客様があ
まりに少なくて(泣)、お客様がいらっしゃ
らない時に、晴耕雨読ならぬ晴読雨読してい
たら、読み終わってしまいました。そして読
み終わってからこのブログを書くまでに時間
がかかってしまいました。
京都の朝市にて、柳宗悦によって見出された
丹波布。この本の題名から丹波布がいかに復
興したのか!?という物語を期待して読み始
めたとしたら、肩透かしにあいます。
金子貫道師は、丹波布復興に尽力し、丹波布
復興協会初代会長を務めた僧侶ですが、その
革新的な考え方から、保守派との意見対立の
末退会し、長らく忘れていた、言わば抹殺さ
れた存在だったそうです。その真実を検証し
金子貫道師の復権を図るように、ストーリー
は進んでいきます。ちなみにその革新性とは
、化学染料を使うことだったり、紡績糸を使うことだったりで、手紡ぎ•草木染・手織りを
伝統とする丹波布からは異端とされた、但し
金子貫道師はそのようなことは意図しておら
ず誤解だったという話。
柳から袂を分かった三宅忠一の民芸協団(丹
波布技術保存協会が近い)と民藝協会との関
係まで想像?推測?が広がっていくと、なん
だか人間関係の難しさばかりが目立って、読
んでいて辛くなっていきました。丹波布に限
らず、民藝に限らず、どこの世界にもあるこ
となのかもしれませんが。。。
そんな時に、そういう調査をしていることに
ついて、著者がある作り手の方に
「その本家争いのようなことを調べて何にな
りますか?それで良い物が作れるようになり
ますか?」
と一喝されるということが描かれていて、胸
がすくというか、救われるというか。
つまり、それが書かれているということは、
この本の本旨は、犯人捜しではない(笹倉徹さ
ん)ということ。
むしろ、著者はこの本を通して、
といったことを投げかけているように思います。
ということであり、また、民藝に限らず、
不易(守り続けるもの)と流行(変化させて
いくもの)のバランスの重要性を伝えようと
しているのかもしれません。
あまり詳しく述べるよりは、是非実際にこの
本を読んで頂ければと思います。白州正子の
金子貫道評や丹波布についての記述も興味深いです。
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