削人
今日明日は火曜日水曜日で定休日!
らしいものを感じつつも、渦中に居て翻弄され続けている僕に対して、大久保さんはそこにいて変わらず削ることに没頭し続けている
、とどまっているからこそ見えている、客観視出来ているのだろう思いました。お話して
いて、大久保さんの見えている世界、独特の
視点がとても興味深かったです。
昨年久しぶりに催事で百貨店の売り場に立っ
て(おそらく鉋で削る実演をしながら)接客
していて、使い手=お客様の変化を感じたと
言います。今までのお客様に加え、手に取る
若い層が広がっている実感があったそうです。
初期テマヒマブログで、サラリーマン時代に
アウトプットばかりでインプットが少なくな
っていくと、枯れていくというか痩せていく
感覚があったということを書いていました。
それは、テマヒマを起業してからも同様で、
僕は常にインプットの渇望があります。
大久保さんはコロナ禍で、個展や催事への在
店が無くなりそのおかげで削り続けること、モノ作りに集中出来、そこから見えてきた境
地があると言います。外に出てモノを観たり
人と話したりすることで得るインプットは無
くなったが、アウトプットし続けることで見
えてきたものがあるというのは、僕の感覚と
は違い、その話前のめりで聞き入ってました。
その見えてきた境地だからこそ、自分の人生
の中で目指すところに辿り着けるのか?時間
がいくらあっても足りないと仰っていました
。弟子をとるという方法もあるでしょうが、
その弟子に教える時間さえも惜しい、その時
間も鉋で削り続けていたいという思いだそうです。このあたりは夜がこなければいいのにと思っていたという芭蕉布の平良敏子さんに
も通じますね。
催事場で何度も大久保さんの削る姿を見てい
ますが、工房での姿、工房の様子を実際に見
れてよかったです。お邪魔した時は匙を削っ
てらっしゃいましたが、見惚れてしまい、見
飽きず、ずっと見てられますね。削った木屑
は山高く積み上げられていますが、工房の中
はとても綺麗に、気持ちよく整えられていま
した。あれはどこにあったっけ?って探し回
る時間が結構ある僕とは大違い。
一昨年、塗り師である玉山保男さんの岩手県
の工房にお邪魔した際に、
「仕事が性格を作る」
という言葉を聞きました。美しい漆器を作る
には綺麗な工房でなければならず、長い職人
生活のうちに性格も変わってきたそうでした
が、大久保さんの場合は元々、整理整頓が得
意、几帳面な性格だったようです(奥様の修
子さん曰く)。
奥様の修子さんは、工房の隣で、大久保さん
の木工だけでなく主に長野県の手仕事を扱う
Gyally senを営んでいますが、一番近くにいて一番厳しい使い手・配り手であると同時に、
何より最大の理解者に思います。家事で大久保さんを支えるだけでなく、実際モノ作り面
でも、匙の拭き漆の作業を修子さんがされて
たりして、大久保さんのモノ作りはまさにご
夫婦の二人三脚と言えます。
お2人の会話を聞いてると、お2人ならでは
のご夫婦のバランスがありますね。
修子さんから聞いた話。大久保さんが独立し
た当初、木工小物ではやっていけないと多く
の先輩に言われたそうです。修子さんご自身
は欲とかは全然ないけど、これで家が建った
ら、新しい工房が出来たら、モノ作りする若者に夢を与えられるでしょう?って微笑んで
らっしゃったのが印象的でした。
来月の東京での催事出店に向けての制作でお
忙しい時に、また修子さんにはお店がお休み
にも関わらず開けて頂き、ありがとうござい
ました!
ランチでお蕎麦をご一緒したり、とても貴重
で有意義な時間をありがとうございました!
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