健啖

こんばんは、


高槻市にある、民藝の器、暮らしの道具、食

に関する古書のセレクトショップ、お味噌や

発酵食品中心のカフェ、テマヒマ

プロデューサー,バイヤーの太田 準です。


日曜日ですが、開店6周年記念イベントという

ことで、関西学院大学教授の濱田琢司さんを

お招きして「濱田庄司お話会」を開催しまし

た。よく言われるように、食べたモノで人間

のカラダは出来ていますが、以前このテマヒ

マブログにも書きましたが、何をどのように

食べるかは、そのヒトをよく表すと考えてい

ます。今回のお話会は、食を通して祖父庄司

や濱田家についてお話頂くというマニアック

なお題でお願いしましたが、普段聞けないよ

うな話もあって、よりリアルに濱田庄司の人

物像や濱田家の暮らしが浮かび上がってきた

のではないでしょうか?


まずは今回のお話会で参加者の皆様にお召し

上がり頂いたものをご紹介したいと思います

■益子ぱぁすちー

濱田庄司がイギリスで滞在していたセントア

イヴスの名物料理コーニッシュ・パスティは

ゴロゴロのお肉やお野菜を炒めてパイに包ん

だもの。庄司帰国後、妻の和枝が再現しその

後濱田家で作り続けられました。今回は濱田

家のレシピを忠実に再現したwork_shop_770

さんに作成をお願いし送って頂きました。独

特の甘味があるのですが、刻んだ野菜を30分

ほど弱火でじっくり炒めているからのようで

す。大根が入っているのはビックリですがこ

れはイギリス流ではなく濱田家流だそうです


■自家製ヨーグルト

濱田家で三代60年以上に渡って継承されてい

るヨーグルトは政治家園田天光光からタネを
り受けたモノ(益子の濱田雅子さん情報に
よるとブルガリア大使館に取りに行ったとか
)。ちなみに明治のブルガリアヨーグルトは万
博の際にブルガリア館でこのヨーグルトを見
てから作り始められたものなので濱田家の方が早いです。今回琢司さんからタネを頂き牛
乳に加え鍋で温めた後毛布でくるんで保温す
るという濱田家の作り方で作りました。テマ
ヒマの豆乳ヨーグルトはヨーグルトメーカー
を使って作ってるので随分古風な作り方。庄司はハチミツをかけるのが好きだったそうで
、丼鉢でヨーグルトを食べていたほど。今回
蜂蜜はsandy.honeyさんの高槻産のものをご用
意しました。


濱田庄司というと作務衣の印象が強いかと思

いますが、一方でスリーピースをバシっとき

めた写真もあって、イギリスに渡ったという

のは食を含めた暮らしやその後の作陶に影響

を与えたことが想像されます。濱田庄司は肉食で、民藝関係者や白樺派の人たちからも

「健啖家」として知られていたとのこと。


琢司さんによれば、作陶面で先輩の河井寛次

郎に比べて劣っていた庄司が渡英することで

何かを掴めないかと考えていたのでは?との

こと。もともと帰国することを前提として

東の目で西を見、西から東を見るという姿勢

がありました。琢司さんのお話の中から食以

外にイギリス滞在の影響があると思われるこ

とを列挙すると


①益子を選んだ理由(生産地と消費地)

セントアイヴスはロンドンから距離があるが

芸術家村のあったディッチリングは比較的近

い。益子を選んだ理由の一つに東京からの距

離があったのでは?庄司が益子で広大な土地

所有したのも同様の芸術家村を作るイメー

ジがあったのでは?


②二系統の生産ライン

イギリスのというよりはバーナード・リーチ

の影響と思われるのが、生産ライン。リーチ

ポタリーにはバーナード・リーチがデザイン

して職人が作るスタンダード・ウエアという

ラインがあるが濱田窯でも、作家濱田庄司(現

在は3代目の友緒さん=琢司さんの兄)のライ

ンと、職人による並モノ(今は窯物と呼んで

ます)の2系統がある。ちなみに今回、琢司さ

んがお持ちくださった器は、個人作品と、職

人による工房作品の境目がまだ曖昧な時期のものとのこと。

③モノ作りの自由さ

轆轤の回転が右回りか左周りかというのは、

作り手の個性ではなく、産地毎の影響がある

が、濱田窯では職人個々でまちまち。このあ

たりの自由さもイギリスの影響か?


琢司さんのお話は、民藝やその周辺の研究す

るまなざしもあって俯瞰したところがあり、

お話は濱田庄司に留まらず民藝運動全体まで

広がりました。参加者から後に民藝運動とは

距離をとった富本憲吉との関係に質問が及ん

だ際に、民藝運動には民藝品を取り入れるこ

とにより生活を美化するという側面と民藝を

取り入れた創作をする側面とが当初からあっ

て、その考え方の違いがあったのでは?と仰

っていました。


今回ご参加者が定員に対して少なかったこと

もあり、距離感も近く、皆さんから積極的に

質問とかも出て、とても良い会となりました

。ご参加頂きました皆様、そして琢司さんあ

りがとうございました!!


特に琢司さんは、直前に骨折に伴う入院から

退院したばかりで、当日も松葉杖を使用して

お越しでした。大変な時にも関わらず貴重な

お話を頂きありがとうございました!


昨年の5周年の際には鷺珠江さんにお越し頂き

河井寛次郎お話会、今年の6周年には濱田琢司

さんによる濱田庄司お話会を開催させて頂き

ました。周年に限らず今後も様々に企画して

いきたいと思います。ご興味あるものがござ

いましたら是非ご参加下さい。


それでは明日も、好いモノ、好いコト、好い
トキをテマヒマで。
今日も一日お疲れ様でした!好い夜をお過ご
し下さい。おやすみなさい。

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テマヒマ

テマヒマは、大阪府高槻市にある、 民藝の器、暮らしの道具、 食に関する書籍のセレクトショップ、 みそソムリエの作る発酵食品中心のカフェです。 食を通して暮らしの豊かさを提案しています。 「暮らし、味わう」 高槻市にお越しの際は、 築90年の古民家をリノベーションした 隠れ家的空間で、 器や暮らしの道具のお買い物、 ランチ、スイーツをお楽しみ下さい。 Since 2018.10.01