不知
おはようございます。
高槻市にある、民藝の器、暮らしの道具、食
に関する古書のセレクトショップ、お味噌や
発酵食品中心のカフェ テマヒマ
プロデューサー,バイヤーの太田 準です。
先日放送されたNHK・Eテレ「ETV特集 POP 大滝詠一 幸せな結末」を観たのですが、大滝詠一さんの97年の、自身最大のヒット曲「幸せな結末」が生まれるまでの様子を貴重な音源や映像とともに紹介されていて、とても良かったのです。今晩再放送があるようなので、おススメです。是非!
以下、ネタバレはありつつ書きたいと思います。
「詠み人知らずになりたい」
確か山下達郎さんのラジオSunday Song Bookの大滝さんが出演された新春放談で「幸せな結末」について、自身の過去に作った曲へのオマージュ(オマージュと表現されたかパロディと表現されたかたは忘れましたが)というような表現をされていたと思いますが、思えば曲名の「幸せな結末」も、細野晴臣、鈴木茂、松本隆とのバンド「ハッピーエンド」からきてるかもしれあませんし、その過去の曲もまた、オマージュに満ちています(番組の中でも紹介されていました)
ドラマの放送2日前になってやっと完成した「幸せな結末」は、「夢で逢えたら」同様自作詞にこだわって、詞がおそらく一番苦労して生まれた感じでした。サウンド作りはフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドに着想を得て大滝さんが80年代にやってた録音方法。小室サウンド全盛の(番組での言葉より)97年という時代に、アナログの一発録り。まるで工業化する社会における手仕事のようで、民藝を感じさせします。だからこそ生まれる音像であり、古びることのない時代を越えことの出来るサウンドなのだろうと思います。しかも、集まったミュージシャンの演奏力を上げたり、サウンドの方向性をまとめるために、自身が影響を受けた洋楽をメンバーでセッションするところから始めていました。大滝さんはそれを先駆者達への「墓参り」という表現をしていたようです。
生前親交のあった音楽評論家の萩原健太さんが、大滝さんが「詠み人知らずになりたい」と仰っていたと紹介して、この番組を見ていて一番グッときました。山下達郎さんもよく「曲は遺りまる」ということを仰っていますが、「曲は残って欲しいが、誰が作って誰が歌っているかは大事ではない」と。大滝さんがアーティストに提供した曲でももはや大滝さん作というのは分からなかったり(多くのペンネームを使い分けたりしてることもあり)、多くのミュージシャンにカバーされ歌われることで元が大滝さんというのが分からなかったりもします。「無名」になっていくことに憧れるというところもまたとても民藝的なあり方だなぁと思います。
現在テマヒマで販売中の藤本智士さんの「日々是編集」。以前このブログでもご紹介しましたが、その中の「編集者というただの器」という一文は、自分のあり方について考えさせられたものでした。その中で紹介されている話ですが、MBSの福島アナはインタビュー取材した際に、実際の放送で質問している自分の声がカットされているばいるほど嬉しくなるそうで、それもまた「無名」につながるところで、民藝的な人、民藝的な考え方というのは、実は身近なところにあったりします。
番組の中では、「趣味をつきつめると普遍になる」とか「差と異は違う」とか気になる言葉が多く語られていました。
本日は、普段定休日の水曜日ですが、営業致します。
7周年直前!蔵出し市7DAYS 、本日よりスタート。
並べてみたら、過去最大級のボリュームになりました。蔵出し特典の対象ではありませんが、先日ワークショップをお願いしたmoa森下さんの竹細工作品も並びました。
是非お手に取ってご覧下さい。
それでは、好いモノ、好いコト、好いトキをテマヒマで。
今日も好い一日を!
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