今藝

おはようございます。


高槻市にある、民藝の器、暮らしの道具、食

に関する古書のセレクトショップ、お味噌や

発酵食品中心のカフェ テマヒマ

プロデューサー,バイヤーの太田 準です。



9月9日ですが、丹波立杭の俊彦窯、丹窓窯さんに、難波高島屋の催事「つなぐ、つながる、民藝」(10月8日~14日)向けの仕入れに行ってきました。重ねてきたいつものお仕事を中心に、新しいお仕事、宝探し気分で発掘したお仕事、色々選ばせて頂きました。丹窓窯さんについては、これから窯焚き予定だとのことで、新たにお願いしたものも。難波高島屋でご覧下さい。


仕入れの後は兵庫陶芸美術館で「MINGEI ALIVEーいま、生きている民藝ー」を観に行ってきました。

河井寛次郎、濱田庄司を第一世代とするとして、第一、第二、第三世代の作品が並ぶ2階の展示は丹窓窯の先代市野茂良さん、清水俊彦さんの器も並びます。河井寛次郎、生田和孝、清水俊彦、師弟の作品が同じショーケースに並んでるとちょっと感動的だったりしますが、俊彦さんのは最近窯出ししたばかりの土瓶と湯呑でショーケースのなかにいるのが窮屈そう?

ちょっと関連することで、兵庫県民芸協会の事務局通信で、露古壽窯(も高島屋の催事でご紹介します)の西堀志伸さんが、大阪日本民芸館の前回の展示「大阪の日本民藝運動ー三宅忠一の眼ー」を観ての感想を書いてらっしゃってとても素晴らしかったのですが、少し長くなりますが一部引用すると


根本的には、美術館という場が本質的に抱える限界を露呈しているのです。来館者に感動を与えるためには、どうしても「見栄えのする」大物に頼らざるを得ない。キャプションに書かれた作家名や産地名がありがたみを演出してくれる。しかし、三宅が最も重視した「どんな貧しい家庭でも容易に受け入れることができる、美しい雑器」は、美術館の陳列ケースの中では力を失ってしまうのです。

この矛盾こそが、日本民芸協団や日本工芸館が直面し続けてきた根本的な問題だったのかもしれません。民衆のための民藝を追求するほど、それは特別な場所に飾られるものではなくなる。日常の中で使われ、消耗し、やがて忘れられていく。そうした品々の価値をどう保存し、どう伝えていくのか・・・・・・


とても考えさせれる内容です。

話を戻して・・・


民藝館の展示と違って,360度から見れるガラス張りの展示があるのでは有難く作品の周りをぐるぐる回って見ていました。ルーシー•リー、黒田泰蔵(黒田泰蔵による縄文象嵌の作品は興味深かったです)らの一階を経て、地下一階は俊彦さんの息子さんの剛さんをはじめ現代作家の作品。普段あまり接点のない作り手の作品を拝見出来たて良かったです。


が、「いま、生きている民藝」というタイトルから僕が受けるイメージとは違っていました。作家性が云々とかって言い出すつもりもありません。「用」というのがモノの用だけでなく、心の用もある(アウトバウンドの小林和人さんの言葉を借りれば機能と作用?)ということはあっても、何か、暮らしから遠く感じるものが含まれているように感じました。


あまり予見なく展示会に行ったのですが、改めてHPを見て紹介文をコピペすると


今からおよそ100年前、宗教哲学者の柳宗悦(1889-1961)によって提唱された「民藝(民衆的工藝の略)」。それは、日々の暮らしに寄り添うものに美を見いだすという、新しい価値観であり、提案でした。その対象とされたのは、用途に即してつくられた「手仕事」による生活道具。それは、近代化にともない、失われつつあるものでした。しかし、民藝が目指したものとは、手仕事をそのまま保護するというよりも、その精神を正しく受け取り、新しい生活スタイルに合ったものづくりへと導いていくことであり、何よりも「生活の芸術(アート)」という、私たちが心豊かに生きていくうえで欠かせないものを手放さないという、一つの哲学であったのではないでしょうか。

 生活道具の中でも、特に使用頻度の高い「器(うつわ)」は、民藝の「現代性」を体現するものといえるでしょう。民藝では、名も無き職人の手仕事、つまり「無銘性」が唱えられたことで、ともすると、個人作家の美意識によってつくられたものを否定しているかのように思われがちですが、民藝の思想を深く理解し、その根幹を支え、現代へと橋渡しをしたのは、なんといっても、優れた創造性を持つ個人作家たちでした。その意味で、民藝はまた、現代において、実用品も手がける個人作家の存在意義を確かなものにしているとも考えられます。民藝は、技術でもなければ、スタイルでもない。そのことをいま一度、考えてみたいと思います。

 本展では、富本憲吉(1886-1963)、バーナード・リーチ(1887-1979)をはじめとする当館の現代陶芸コレクションの核となっている個人作家の器作品を展観しながら、当時、先鋭的なモダニストでもあった柳が見つめた民藝の本質について、現代の視点から再考することを試みます。さらに、「いま、生きている民藝」の諸相について、現代の作家たちがつくりだす様々な作品を通して、いま、私たちが豊かで幸せであると思える暮らしと、そこに息づく「生活の芸術(アート)」について、思いを寄せる機会とします。


とあります。もしかしたら民藝を「民衆的工藝」から「民衆的藝術」と捉え直す試みだったのかしら?と思ったりもしました。それが「いま、生きている民藝」があくまでサブで、メインタイトルはローマ字表記の「MINGEI ALIVE」であることに込めているのでしょうか?


展示会最後に掲示されていたメッセージを読んだ時に、逆に「手仕事」「作家」にこだわらずに、機械生産・工業製品、アノニマスデザインという方向でキュレーションしたら面白かったのかもと思っていました。という僕の個人的意見も、展示会の内容も、民藝をどうアップデートするのか?という点では共通しているとは思いますが。


兵庫陶芸美術館 展示場横 情報コーナーで「民藝 -starting point in TAMBA-」という、奥田康博氏、生田和孝氏の作品を始め、柳 宗悦、濱田庄司、河井寛次郎に繋がる丹波焼の窯元、作家を紹介する展示があることを後で知って、見落としたことを後悔しています・・・・。これから「MINGEI ALIVE」に行かれるかたは是非お見逃しなく!

「MINGEI ALIVE」の会期は11月24日(月・振休)までです。


7周年直前!蔵出し市7DAYSも3日終わりました。お越し頂きました皆様ありがとうございました。中日の今日は、ちゃりんこ喫茶10さんがドーナツの移動販売にお越し下さいます。(晴れてたらお店前、雨が降ったら縁側予定)

7周年ということで、7種類のドーナツをお持ち頂き、そのうち2種類はこの日限定の「味噌キャラメルドーナツ」で、プレーンとオールドファッションがあります。こちらも7周年ということで2タイプ合わせて7×7=49個限定でご用意頂きます。開店時間ぐらいから販売開始して、売り切れ次第終了となります。

テイクアウトのみの販売ですが、蔵出し市にお買い物にお越しのお客様で味噌キャラメルドーナツご購入の方に限り、イートインも可能です。

1日限定、数量限定にはなりますが、是非〜。


それでは好いモノ、好いコト、好いトキをテマヒマで。

今日も好い一日を!

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テマヒマ

テマヒマは、大阪府高槻市にある、 民藝の器、暮らしの道具、 食に関する古書のセレクトショップ、 みそソムリエの作る発酵食品中心のカフェです。 ヴィーガン対応、ロースイーツもあります。 食に関するワークショップも随時開催中! 築90年の古民家をリノベーションした 隠れ家的空間で、お買い物、ランチ、スイーツをお楽しみ下さい。 Since 2018.10.01 哲学カフェはじめました。