普通
おはようございます。
暮らし、味わう。
民藝と発酵をモノサシに
食を通して暮らしの豊かさを提案する
古民家セレクトショップ&カフェ テマヒマ
プロデューサー、バイヤーの太田 準です。
正直な話、テマヒマを開店するまでは、ママ
チャリに前乗せだったり、後ろ乗せだったり
、あるいは両方だったりの子供乗せを付けて
るのがこんなに走ってるのに気付いてないと
いうか、目に入ってませんでした。活動時間
帯の違いもあるとは思いますが、やはり我々
夫婦に子供がいないこともあったかな。この
コロナ禍で減ってしまいましたが、お店の前
に子供乗せ付きママチャリがずらりと並ぶこ
とも。お母様が子供を前後に乗せ颯爽と走っ
てる姿(コト)はカッコいいけど、子供乗せ自転
車のデザイン(モノ)はカッコよくないという
か、安全性からくるものなのでしょうが、も
う少しカッコいいデザインのものがあっても
いいのになぁと思ったりしてました。
深澤直人さんとナガオカケンメイさんとの対
談の中で「ふつう」は日常の中で繰り返され
る中ふつうになるという話をしていて、今までふつうじゃないと思ってたものがふつうに
なってきた例としてその電動アシスト付きの
ママチャリを挙げていて、子供を乗せてママ
チャリをこぐ姿が幸せのシンボルになりつつ
ある、と深澤さんが発言していました。
そんな対談が巻末にある、深澤直人さんの
新刊「ふつう」はD&DEPARTMENTが出して
る出版物の中の2005年から2020年にかけて
の連載に書き下ろしを加えたもの。スタート
した頃には、ナガオカケンメイさんが提唱し
たロングライフデザインが民藝や民藝的なものに近いところに位置づけて見られたり、考
えるようになるとは、考えてみれば必然な気
もしますが、2005年ぐらいの時には思ってな
かったことではないでしょうか?そして深澤
直人さんが日本民藝館の館長になることも。
サスティナブルという言葉が、ここまで声高
に言われるようになったのは、今の社会や世
界がサスティナブルではないからだと思いま
すが、深澤直人さんは、ふつうがふつうでは
なかったから、ふつうという言葉が注目され
たと20年ほど前に仰ってたそうです。
ナガオカケンメイさん曰く、ロングライフデ
ザイン、民藝、サステナブル、そして「ふつ
う」の四つのキーワードは重なり合う、重な
らざるを得ない時代が今で、何がふつうかを
考える時代だと。
コロナ禍にあって、ふつうがふつうでない今
だからこそ、ふつうとは何かを考える、ふつ
うに気がつけることが出来るのかもしれませ
ん。
以前に聴講した深澤直人さんの講演で、よい
ものといいものは違うという言葉がありまし
た。当時の僕の悩みや迷いを整理するもので
モノサシとしての民藝は僕にとっては救済で
した。まさか生業にするとまでは思ってませ
んでしたが。僕なりの解釈も含めてですが、
よいもの(良いもの)は測れるもの、いいもの
(好いもの)は測れないもの。機能的価値と情緒
的価値というとちょっと乱暴すぎますが。
柳宗悦が見出したのは、ふつうの中にある美
、言葉に表しにくい美、なんか好いなぁとい
う美だったのだと思います。それに民藝という言葉をあてた。言葉をあてたことで理解が
深まることとかえって誤解を招くことがある
(最近そのことが僕的に気になることの一つです)。
お店に立ってお客様に、モノのこと民藝のこ
とを語ります。ふつうの中の言葉になりにく
いことを言葉で説明しようという矛盾ってあ
りますよね。あと、ふつうのよさをふつうではない店が説明しようとする矛盾も。後者の
ふつうでない店というのは、差別化しようと
する作為に由来するものなので、時とともに
日常を繰り返す中で、無為になっていく、ふ
つうになっていく、そういうテマヒマであり
たいと思っています。
コロナ禍にあって、ふつうがふつうでない今
だからこそ、(と同じことをもう一回言いつつ)
深澤直人さんの「ふつう」是非お手に取って
みて下さい。テマヒマで絶版販中!笑
今日も11時オープンで皆様のお越しをお待ち
しております。ランチのご予約も少ないので
お席に余裕がございます。
それでは、好いモノ、好いコト、好いトキを
テマヒマで。今日も好い一日を!
深澤直人さん「ふつう」の中では、徹頭徹尾
ふつうと平仮名表記していますが、漢字二文
字制約のためブログタイトルは普通とさせて
頂きました。ふつうと普通。違うもののよう
に感じますが。。。
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