特性
おはようございます。
高槻市にある、民藝の器、暮らしの道具、食
に関する古書のセレクトショップ、お味噌や
発酵食品中心のカフェ、テマヒマ
プロデューサー、バイヤーの太田 準です。
日本民藝協会のホームページの中に「民藝」
の趣旨というページがあって、次のような項
があります。
柳の説く「民藝品」とは具体的にいかなるも
のであるのか。柳は、そこに見られる特性を
次のように説明している。
1実用性。
鑑賞するためにつくられたものではなく、なんらかの実用性を供えたものである。
2無銘性。
特別な作家ではなく、無名の職人によってつくられたものである。
3複数性。
民衆の要求に応えるために、数多くつくられたものである。
4廉価性。
誰もが買い求められる程に値段が安いものである。
5労働性。
くり返しの激しい労働によって得られる熟練した技術をともなうものである。
6地方性。
それぞれの地域の暮らしに根ざした独自の色や形など、地方色が豊かである。
7分業性。
数を多くつくるため、複数の人間による共同作業が必要である。
8伝統性。
伝統という先人たちの技や知識の積み重ねによって守られている。
9他力性。
個人の力というより、風土や自然の恵み、そして伝統の力など、目に見えない大きな力によって支えられているものである。
6月のまいまい京都さん主催のテマヒマでのお
話会で、民藝と発酵の共通性みたいな話をし
た際にも使わせて頂きましたし、カフェのメニュー表の中にも忍ばせて(?)たりします。
柳宗悦がこういう条件でもって蒐集した訳で
は無く、柳の直観により蒐集した美しいモノ
に対して、その特性を見出したので、この条
件揃ったら民藝、揃わなければ民藝では無い
といった条件ではありません。
福岡の工藝風向の店主高木崇雄さんが著書「
わかりやすい民藝」の中で、○○だから民藝
と条件のように考えると民藝の記号化が始ま
ってしまう、柳の思考の枠組みからすれば、
逆説、○○にも関わらず、○○では無く、と
受け止めるべきとしています。
1非鑑賞性
鑑賞を目的として作られたものではない
2非有銘性
自らの名をあげるために使ったものではない
3非単数性
希少価値を求めて作られるものではない
4非高価性
高価であることを求めて作られたものではない
5非趣味性
美的趣味の表現のために特化された技法を用いていない
6反グローバリズム性
どこにでもある形を志向しない
7反孤立性
自分1人で作り上げているなどと思い込まない
8反新奇性
思いつきで作る形や色、模様などではない
9非自力性
個人の力、個人の生という、限られた力や時間だけに頼らない
その高木さんがSNSで、民藝店と名乗るのが許されるのは、民藝運動の中から生まれた鳥取
たくみさん、銀座たくみさんぐらいで、たく
みさんも工藝店と名乗ってるのだから、自分
の店は民藝店と自称する勇気は無いというよ
うなことを確か仰ってました(正確な言い回し
では無いのはご容赦ください)。あと器は使い
手によって使われ育つことによって工藝品か
ら民藝品になるということも(これも正確では
無いかもしれません)。
テマヒマは、民藝に触れたり知ったりする、
きっかけや入り口になれたらというような店
なので、民藝という言葉は使っても、民藝店
と名乗ることは無いです。過去に#ハッシュタ
グで使ったことはあったかもしれませんが。
あと、「食」を通して暮らしの提案をする店
だとは思いますが、それも民藝だけでは無い
というのもあります。
出西窯の故多々納弘光さんは、息子の真さん
(現代表)に「(歴史の浅い)出西窯は、民藝の志
のある窯元であって、民藝の窯元とは絶対言っちゃいけない」と言っていたそうです。
(「出西窯と民藝の師たち」より)それに倣って
言えば、民藝の志のある店を目指す、ぐらい
でしょうか。まだまだ日々民藝について学ん
でいる段階ではありますが。。。
飛騨高山のやわい屋店主の朝倉圭一さんが
著書「わからないままの民藝」の中で、民藝
の特性を人の在り方として意訳してみよう、
と以下のように書いてらっしゃいました。
1実用性
人からどう見られるかを気にする人物ではなく、誰かに必要とされる人物である
2無銘性
特別な人物では無く、環境に生かされる無名の人物である
3複数性
民衆の要求に応えることができる人物である
4廉価性
誰もが気軽に頼ることができる身近な人物である
5労働性
くり返しの激しい労働によって得られる熟練した技術をともなう人物である
6地方性
地域に根ざした独自の言語や習慣、地方色を豊かに感じさせる人物である
7分業制
複数の人間による共同作業に従事できる人物である
8伝統性
伝統という先人たちの技や知識の積み重ねによって守られた人物である
9他力性
個人の力ではなく、風土や自然の恵み、伝統の力など、目に見えない大きな力によって支えられている人物である
お店というものも1つの人格なので、これの
お店版を作ってみたら、民藝店或いは民藝を
志す店ってどんな店だろう?って見えてくる
かなぁ、一度考えてみようなんて思ってから
随分経ってしまいましたので、今後の宿題と
して今日はここまででアップしておきます。
昨日から始まった、6周年直前!蔵出し市、
静かな滑り出しとなりましたが、お越し頂き
ました皆様ありがとうございました!関連し
てコラボ企画も数本走らせているので、ある
お客様が、どれがいつやってるかよく分から
ないというご指摘を頂き、予約や申込みが伸
び悩んでるのもそういうこと??と被せ過ぎ
たことを反省してます。と言いつつ、この後
まだお知らせが続くのですが。。。
テマヒマは、蔵出し市2日目、今日も11時オー
プンで皆様のお越しをお待ちしております。
それでは、好いモノ、好いコト、好いトキを
テマヒマで。今日も好い一日を!
「わかりやすい民藝」は4年前に出版された時
から扱わせて頂いてるのですが、最近出た
「わからないままの民藝」の横に並べて置い
ていたら何故か再び売れ出すという謎の現象
が起こっています。やっぱり「わかりやすい
」方が皆さんお好き?
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