能書
おはようございます。
高槻市にある、民藝の器、暮らしの道具、食
に関する古書のセレクトショップ、お味噌や
発酵食品中心のカフェ、テマヒマ
プロデューサー、バイヤーの太田 準です。
綿を手紡ぎし、草木染めし、絹のつまみ糸を
使い、手織りした丹波布は、兵庫を代表する
民藝の一つです。柳宗悦によって京都の朝市
で見出された時には既に途絶えていましたが
、その後再興され多くの関係者の尽力により
今に至ります。
テマヒマでは、大谷由美子さん主宰の丹波布
工房「丹の布」のモノをお取り扱いさせて頂
いています。2022年11月に、僕も理事とし
て参画しています兵庫県民芸協会の勉強会で
大谷さんの工房を訪ねました。その時のレポ
ートを「復元」というタイトルのブログにま
とめていますので宜しければご覧下さい。
さて、兵庫県民芸協会の機関誌である「兵庫
民芸」最新号が届きました。機関誌ですが
一般販売もしていてテマヒマでもお取り扱い
させて頂いています。蛇足ですが、販促費を
かけない方針のテマヒマが唯一広告出稿する
唯一の媒体です。
今号は、ほぼまるごと丹波布特集。柳宗悦、
上村六郎、などの文章に始まり、大谷由美子
さんはじめ現在の作り手のインタビューまで
様々な視点で丹波布が語られています。
今号は従来に比べ大幅な増ページで内容も充
実。編集長の赤松さんご自身が染めや織りを
学んでらっしゃる方だけにその熱意が伝わってきます。前野直史さん撮影の質感が伝わってくるこの表紙がまた素晴らしいです。
個人的には、白洲正子の「丹波布をたずねて
」という一文があることが、この特集号に厚
みというか深みを与えてくれていると思います。
肝心の丹波布が、思った程には世間には受け入れてない。たまに買うのは、ごく一部の趣味人で、一般にはわかって貰えない。だがお客というのは不思議なもので、知識は無くても必ず理解してくれるモノである。また此方としても、能書つきで、わかってなんか貰いたくない。
丹波布は手紡ぎ、草木染め、手織りでして。
。。と丹波布について伝えるのも配り手の役
割ではあるものの、お客様が何か素敵な布だ
わってお手に取られるのがまず先で、柳宗悦
が民藝だから美しいのでは無いと言ってたよ
うに丹波布だから美しいという訳では無く、
自然と伝わるとよいなぁと思います。
三十年前に、丹波布が絶えたという事実は、需要がなくなったことをしめしている。早くいえば、世間に捨てられたのである。どんないいものでも、それを昔にかえしたところで、そのままの形ではむつかしい。
白洲正子のここでの言葉は、柳宗悦が見出し
た丹波布の美しさは、使い込まれてきたこと
による味わいだったりするので、現代人は、
新しい物を買って育てる愛情や時間は無いの
だから、古裂の感触や色彩の再現こそ必要で
は?という意味なのですが、使い続けること
によってより良くなっていくということにつ
いて伝えるのも我々配り手の役割かと思いま
す。一方、元々のように夜具として使われる
ことは無いでしょうし、着物や帯なども和装
をされる方が減ってることを考えるとなかな
な難しい。でも今、よく見る丹波布を使って
作られたバッグなどは言葉を選ばずに言うな
らどこか老けた雰囲気、いなたなさがあって
現代のセンスにアップデートする必要がある
のでは?と思ったりします。鳥取新作民藝の
プロデューサーと言われた吉田璋也のような
役割の人が必要なのかもしれませんね。
丹波布特集号、全国各地から兵庫県民芸協会
にお問い合わせがきてるようで、有り難いこ
とです。テマヒマでも昨日の朝インスタにア
ップしたところ早速お求めにお越し下さった
方がいらっしゃいました。
兵庫民芸刊行に合わせまして、テマヒマのメインテーブルに丹波布のコーナーを設けまし
た。前出の丹の布•大谷由美子さんにお願いし
てコースターやストールを送って頂きました
。もう一点ストールを追加で仕上げて頂いて
るところです。
兵庫民芸丹波布特集号と合わせて、今の丹波
布を是非お手に取ってご覧下さい。メイン特
集は引き続き、沖縄で学んだ作り手の今です
。
テマヒマは今日もこの後、11時オープンで皆
様のお越しをお待ちしております。ランチの
ご予約はお1組のみで残り9席とお席に余裕が
ございます。
それでは、好いモノ、好いコト、好いトキを
テマヒマで。今日も好い一日を!
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