障壁

こんばんは。


高槻市にある、民藝の器、暮らしの道具、食

に関する古書のセレクトショップ、お味噌や

発酵食品中心のカフェ、テマヒマ

プロデューサー,バイヤーの太田 準です。


早々に12/23にテマヒマ年内の営業を終えました。今年も1年無事営業することが出来ました。これもひとえに遠くからお近くからお越し頂きました皆様のおかげです。ありがとうございます!2018年10月の開店から6年3か月となりました。お越し頂くお客様の人数に山谷はあるものの、開店以来お客様が0になった日もなければ、かといってお店前に行列が出来るというようなこともなく(仮に人気店であっても行列が出来るのはよくないと考えている派なので)本当に有難いことです。とても分かりにくい、たまたま通りがかるということのない立地なので奇跡的とさえ思います。


テマヒマの場合、飲食業と小売業が両輪ですし、飲食についても単なる飲食業という認識はないのですが、飲食業については廃業率の高さ(生存率の低さ)が言われます。あるデータによると、廃業率は1年後30%(生存率70%),2年後50%(生存率50%),5年後60%(生存率40%),10年後95%(生存率5%)などと言われています。その飲食業の中でもカフェは廃業率が特に高いと言われています。何かで読んだところではその理由として、客単価の低さ、店舗数(競合)の多さ、準備量の少なさが挙げられていました。


確かに、誰でも始めらる(始められそうに思える)カフェは参入「障壁」の低さはあって、未経験者が飲食業を始めては撤退するという事例は多くあり、廃業率の高さの一因であるのは否めないですが、だからと言ってそれを揶揄するような言い方はいただけません。テマヒマも専業主婦とサラリーマン夫婦が未経験のまま始めたお店(未経験だったからこそ始められたお店?)ですから。

2週間ほど前の日本経済新聞の記事 ”流通業のいま(上)「非合理を戦略に組み込む」”(楠木建・一橋大学特任教授)が面白かったです。3日連続の連載で(中)”「お財布シェア」の争奪戦に”(中村博・中央大学教授)、(下)“「買いたい」をどうつくるか”(鈴木智子・一橋大学教授)と続きます。


同記事によると、収益の源泉は、事業立地(どの業界か)と戦略(どのように独自の価値をつくるか)の2つに大別でき、流通小売業の場合、参入障壁が低く、市場は成熟し、差別化は容易ではない。規模の経済も効きにくい。非連続な技術革新にも期待できない。必然的に戦略勝負になると分析。しかも戦略はすぐに模倣される。


この記事の中で、合理的な打ち手をつなげて合理的なストーリー(※)をつくろうとすると合理的なので模倣されやすいが、その商売に精通した人が非合理と見なす要素をストーリーに組み込むと、競合他社は業界常識に外れているので模倣を忌避し、結果としてそれが模倣障壁となる。ということが書かれていました。

※ここで言う(戦略)ストーリーとはビジネスモデル-業務や取引の体系-ではなく、論理の体系で、この論者は個別の打ち手が一貫した因果論理でつながった総体にこそ競争優位の正体がある(「ストーリーとしての競争戦略」)としています。


飲食業経験のないまま始めたテマヒマは、家庭料理の延長的な、おそらく飲食業出身者の方からすると考えられないような、その名の通りテマヒマかけてお料理してご提供しています。食材も同様で、出来るだけ安くではなく、出来るだけ国産、安心・安全なものを選ぶようにしています。記事にあったように、他店からするとマネ出来ないではなく、マネしたくないのかもしれません。物販の品揃えだけ言えば容易にマネ出来るかもしれませんが、物販と飲食と両方となるとかなり大変なので同様にマネ出来ないではなく、マネしたくないかもしれません。模倣障壁を作ろうとした戦略なんてことでは決してなくて、お店としてやりたいこと、目指すところをやっていたら、今の形になったということではありますが。


冒頭に書いたように飲食業は、そして記事のように流通小売業は厳しい業界かと思います。このブログにもたまに書いてるように、これからお店を始めようとする方がテマヒマにお越し下さってお話することがたまにあります。未経験者で準備もそれほどしていなくても始められましたし、ここまで続けることが出来ましたので、その知見はお伝えできるのではと思います。折角始められるのなら、もしそこに何か想いがあられるのなら、うまくいって欲しいので。準備不足ということについては、起業・開業するまでの他の業界での経験もまた間接的には準備だと思いますので。


テマヒマは昨日から年末年始のお休みに入っております。年明けは1/7の初売り!蔵出し市からです。


私事ですが、本日誕生日を迎え52歳となりました。直接或いはSNSなどでお祝いメッセージ頂きました皆様ありがとうございます。個別にお返事してるつもりですが漏れがあるかもしれませんのでこちらでも。

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テマヒマ

テマヒマは、大阪府高槻市にある、 民藝の器、暮らしの道具、 食に関する書籍のセレクトショップ、 みそソムリエの作る発酵食品中心のカフェです。 食を通して暮らしの豊かさを提案しています。 「暮らし、味わう」 高槻市にお越しの際は、 築90年の古民家をリノベーションした 隠れ家的空間で、 器や暮らしの道具のお買い物、 ランチ、スイーツをお楽しみ下さい。 Since 2018.10.01