不揃

おはようございます。


高槻市にある、民藝の器、暮らしの道具、食

に関する古書のセレクトショップ、お味噌や

発酵食品中心のカフェ、テマヒマ

火曜日水曜日は定休日!

プロデューサー,バイヤーの太田 準です。


テマヒマのカフェでお冷をお出しするのに使ってるグラスは、富山県氷見で吹きガラスのお仕事をされている城勝彦さんによるもの。肉厚で安心感もあり、飲み口も柔らかいので人気のコップですが、底型に対して宙吹きするので、カタチも大きさも不揃い。味があって同じものは1つとしてありません。売り切れて長らくとなりますが、昨年の能登の地震の影響からお休みされていましたが間もなくお仕事を再開されるとのことで気長にお待ちいただけたらと思います。


プロダクトデザイナーで現日本民藝館館長の深澤直人さんが好評会で仰ったというperfect imperfection、「人が手でつくり完璧を目指した非完璧な部分に美しさが宿る」というのはなるほどそうだなと思います。味は生まれモノで、味を出そうとして作ったモノはイマイチ。正確な言葉は忘れましたが栁宗悦も似たようなことを言ってたと思います。手仕事のモノを販売するのに多少の歪みや不揃いも味だと思いますし、どれも作為ではありませんが、「手仕事なので」と免罪符のように言いがちなのは気をつけなくちゃなと思います。それは「有機野菜なので」というのも同様かと思います。


毎週金曜日に日本民藝協会の民藝講座第三期をオンライン受講させて頂いています。土井善晴さんが講師で「料理から民藝を考える」というテーマ。民藝と発酵の共通性を常々言ってますが、「家庭料理は民藝だ」と仰る土井さんの(家庭)料理と民藝の共通性は納得感・共感があります。その第四回はゲストに中邑賢龍(東京大学先端科学技術研究センター名誉教授、北欧工藝品蒐集家)さんを迎えての回でした。お話の中で、同じコップが沢山あると、何も考えなくなる、扱いも雑になる、という発言がありました。不均一なことの重要性みたいな文脈だったかと思います。


言われてみれば、先述の城勝彦さんのグラスでも、お越しになったお客様の人数に合わせて違う色でお出ししようとか、高さは揃えようとか、頭を使っています。ご飯茶碗も様々ですのでご夫婦のお客様にはペア感を出そうとか、高齢の方だから軽めのものにしようとか。お盆の上のお皿が同系色でまとめてみようとか、はたまた色々な色にしてみようとか。お客様同士で豆皿が被らないようにしようとか。不揃いだからこそ頭を使う、お客様のことに思いを馳せる、知らず知らずのうちにそんな効用があったのですね。以前このブログでもご紹介した「不便益」ということにも繋がるでしょうか。

毎朝何を着ようって考えるのが面倒、その時間が勿体ないからと同じ服を何枚も持ってそれを着るスティーブ・ジョブススタイルもいいですが、今日は何を着よう、どう組み合わせようという方が楽しいし、豊かではないですか?



1週間ぶりのブログ更新となりましたが、前回の「履違」の回が思わぬ反響(?)があってビックリしました。読まれてないようで案外読まれてるんだなとか。あととても具体的なことなだけに、自分に置き換えて考えやすかったりするのかなとか。今回の不揃い、不均一ということでも、器や洋服以外でもこういうことも当てはまるよね?ということがある気がします。

以前からテマヒマにて哲学カフェ、哲学対話、みたいなことを出来ないかと考えているのですが、それも何か具体的なテーマで話すうちに一般化、抽象化していくみたいなのがいいなと漠然と思っています。


テマヒマは今日明日火曜日水曜日で定休日です。明後日27日11時オープンで皆様のお越しをお待ちしております。


それでは好いモノ、好いコト、好いトキをテマヒマで。

今日も好い一日を!

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テマヒマ

テマヒマは、大阪府高槻市にある、 民藝の器、暮らしの道具、 食に関する書籍のセレクトショップ、 みそソムリエの作る発酵食品中心のカフェです。 食を通して暮らしの豊かさを提案しています。 「暮らし、味わう」 高槻市にお越しの際は、 築90年の古民家をリノベーションした 隠れ家的空間で、 器や暮らしの道具のお買い物、 ランチ、スイーツをお楽しみ下さい。 Since 2018.10.01