有名
こんばんは。
高槻市にある、民藝の器、暮らしの道具、食
に関する古書のセレクトショップ、お味噌や
発酵食品中心のカフェ テマヒマ
プロデューサー,バイヤーの太田 準です。
濱田窯(益子)の職人さん高根澤光子さんが(愛称みっちゃん)急逝されました。86歳でした。濱田窯の濱田友緒さんや雅子さんのSNS投稿で知りました。みっちゃんさんとお会いしたのは濱田窯にお邪魔した数回のことなのですが、急なことにショックを受けています(そしてこれほどショックを受けている自分に驚いています)。前週まで元気にお仕事されていたそうなので、本当に急で、ご家族同然だった濱田窯の皆様、濱田家の皆様の心痛は想像するに余りあります。
テマヒマでもお取り扱いさせて頂いています濱田窯のまんじゅう皿。
お客様にご説明する時に、濱田庄司が存命の頃はまんじゅう皿に赤羽まんぢうをのせて来客に出していたこと、毎日100個注文していたらしいこと、と合わせてそれを作る職人さんが高根澤さんというご高齢の女性の職人さん、しかも濱田庄司時代からお仕事されるている方であることをお伝えしていました。みっちゃんさんの情報は基本的には濱田友諸さん(濱田庄司の孫で現濱田窯当主)から聞いたお話ですが、元々女中だったみっちゃんさんは庄司に見込まれて職人さんに抜擢されたとか。
友諸さんから聞いた話で好きなエピソードがあります。みっちゃんさんは濱田窯へバイクで通勤していましたが、ドキュメンタリーの撮影でそのシーンを撮ろうとしたら、爆走しすぎてもう少し遅く走って下さいって撮り直したという話。これもお客様によく言ってたなぁ。
サラリーマンだった自分の父親が定年退職後、老けたというか衰えたのを見ていたせいか、お仕事をし続けてるからいつまでも若い、そしていつまでも若いからお仕事を続けられる、というみっちゃんさんはじめ職人さん達って本当にすごいなと感じています。みっちゃんさんは生涯現役だったということですもんね。
民藝を表す言葉、よく使われる言葉に「無名の職人」ということがあります。
みっちゃんさんは、個人作家でも無ければ、窯主でもなく、窯の一職人さんです。器や箱書きなどにその名が刻まれることはありませんが、晩年はメディアへの露出もあって「有名」になりました。僕は、その器がどんな場所で、どんな人が、どんな風に作っているかを伝える、ヒトとモノ、間接的にはヒトとヒトを繋ぐのも自分の役割だと考えていて、みっちゃんという「名」もお客様に出していました。今後も、まんじゅう皿を観るたびに、伝えるたびにみっちゃんさんを思い出すことと思います。KANさんが亡くなった時も思いましたが、達郎さん言うところの「作品は遺ります」。そしてまんじゅう皿がお客様のもとで使い続けられ、時が経ち、誰が作ったとかも忘れられた時に「無名」へと帰っていくのでしょうね。
昨日、名古屋の方からお電話がありました。以前テマヒマでまんじゅう皿をお買い上げ頂いたそうで、その時僕がお話したみっちゃんのエピソードが忘れられなくて、SNSで訃報を見てご連絡を下さったとのこと。残念ながら現在まんじゅう皿の在庫がかなり品薄なのですがそれでもお取り置きをお願いしたいとのことでした。みっちゃんさんご本人が思ってらっしゃるよりも(いやきっとそもそもそんなこと自体思ってらっしゃらなかったでしょうけど)知られていて、亡くなったことを悲しんいる人が沢山いらっしゃいます。
ご冥福をお祈りいたします。
テマヒマは明日も11時オープンで皆様のお越しをお待ちしております。グーグー藤カレーコラボSpecial Curry Weekも残り2日、木村恭子メイン特集或いはミニ個展も残り2日です。
ランチの11時半、12時のお時間はご予約で残り1席となっていますので少し遅めにお越し頂くのがおススメです。12時以降はお料理の確保予約(お席は空き次第のご案内)も承っております。
それでは明日も好いモノ、好いコト、好いトキをテマヒマで。
今日も一日お疲れさまでした!好い夜をお過ごし下さい。おやすみなさい。
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