木喰

こんばんは。


高槻市にある、民藝の器、暮らしの道具、食

に関する古書のセレクトショップ、お味噌や

発酵食品中心のカフェ テマヒマ

プロデューサー,バイヤーの太田 準です。


兵庫県民芸協会では月イチペースで、民藝40年からの柳宗悦の論考を味わう読書会を開催していますが今日のテキストは「木喰上人発見の縁起」。関連して京都府南丹市にある清源寺にお邪魔してきました。清源寺にある木喰仏を拝見した後、「木喰上人発見の縁起」について語り合うという趣向。


妙満上人(木喰上人)は肉を食べず、火を使った調理もしない(今で言えばヴィーガンでロ-フード?)しかも五穀と塩味を絶つという木食戒という修行をしていましたが、60歳を過ぎる頃から一木造の仏像を彫り始め、全国を旅しながら彫り続け、それを奉納していました。今日ご説明下さった住職によれば天明の飢饉や浅間山噴火といった時代背景・社会情勢があったとのこと。


清源寺にやってきたのはその旅の最終盤。89歳の時のこと。93歳没とされているので人生においても最晩年。滞在中の4-5ヶ月の間に28体(実は29体らしい)を彫刻し、そのうちの22体が清源寺におさめられています。通算1000体目もその中にあるぐらいなので、山梨から始まった初期に比べても、出っ張った丸い頬など、微笑みがより特徴的で、作り続けられたことによる洗練(もちろん最大の特徴である素朴さはありつつ)が感じられます。


柳宗悦が「微笑仏」とも呼んだ木喰仏。これまで日本民藝館で拝見したことはありましたが、22体もの木喰仏をまとめて見たのは初めて。奥の羅漢堂で周囲を取り囲むように並ぶお姿は圧巻でした。でも決して強く迫ってくるような感覚は無く、思わずつられて微笑んでしまうような感じ。ウィンクしてるもの、舌を出してるもの、目を見開いてるもの、顔を覆い隠しているものと個性豊かです。


拝観のあと読書会に移ったわけですが、満たされた感覚があって、言葉があまり出てこず、皆さんのお話を聞く、味わう感じでした。スミマセン。


妙満上人は身長180センチもあったそう。鬼が来たという表現もあったようですが、90歳近い180センチ、しかもおそらく(長旅で)あまり綺麗ではない身なりだったと思います。既にその名はある程度知られたとは言えかなり浮いていておそらく村人とかは最初ひいたんじゃないかと。一方、時を経てその足跡を追ってやってきた柳宗悦もまた違う意味で浮いていただろうと思います。その二人はどこか似たところ、共通点があったのでは?という意見がある参加者の方から出てなるほどなと思いました。田舎の人はどこかよそ者を受け入れ難いところがあるが、それを受け入れさせた、(悪く言うと)空気の読めなさと、そんなことを越えるパッション/熱量があったのだと思います。


「縁起」というタイトルから連想される「偶然」。この論考を読んでると本当に偶然が重なり、木喰仏が見出され、研究が広がり深まり、おかげでこのように残ることが出来たということが分かりますが(「民藝」も同様ですよね)、それも「熱量」があったから「偶然」が導かれたのでは?とさえ感じます。栁は「私が見出したのではなく、上人に見出されたのだ」といったことを言っていますが、「他力」「与格」「中動態」といったことにも通じるでしょうし、明治以降の近代化で失われた、宗教と美術(というか暮らし)が隣り合わせだった頃にはごく自然な感覚だったのかもしれませんね。


住職が説法で「ありがとう」という気持ちの大切さを仰っていて、木喰仏の笑顔がそれにも通じるというお話をされていました。「感謝」と「笑顔」それを忘れないだけでも色々なことが変わっていくのでは?と思いました。想いがいっぱいになった好い一日でした。


テマヒマは昨日今日、火曜日水曜日で定休日でした。明日11時オープンで皆様のお越しをお待ちしております。ランチのご予約はお二組のみでお席にかなり余裕がございます。ご予約無しでもお席ご案内出来るかと思います。


それでは明日も好いモノ、好いコト、好いトキをテマヒマで。

今日も一日お疲れさまでした!好い夜をお過ごし下さい。







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