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こんばんは。


高槻市にある、民藝の器、暮らしの道具、食

に関する古書のセレクトショップ、お味噌や

発酵食品中心のカフェ テマヒマ

プロデューサー,バイヤーの太田 準です。


9/6(土)、浦堂認定こども園さんにて、「百姓の百の声」自主上映会を開催しました。「千年の一滴」以来の共催で、共に柴田昌平監督(プロダクション・エイシア)作品ですが、今回は本編及び次回作「百姓の百の声II〜未来にタネをまく(仮)」予告編の上映会の後、東京からお越し頂いた柴田監督のお話会付きという贅沢な構成。元々はプロデューサーの大兼久さん(監督の奥様)が登壇予定でしたが、お忙しいスケジュールの間を縫って急遽監督自らがお越し下さいました。大阪では初の自主上映会は初とのこと。


メディアで取り上げられる農業が可哀想な状況な農家か、AIなどを取り入れてる農家、みたいに極端な為、普通の今の農家を伝えたかったと仰っていましたが、問題点や課題解決という視点では無く、お百姓さんの人柄や、考え方の豊かさにフォーカスされていて、過度に悲観的でも無く、とてもフラットで、見終わった後に前向きな気持ちになれる映画でした。ちなみに百姓という言葉は差別用語とされているようですが、この映画に登場するお百姓さんは何でもやる、何でもやれる人という意味の百姓という言葉を誇りを持ち、監督は敢えてリスペクトを込めて百姓と呼び、そして百姓国を撮っています。


映画の中の農家さんは皆さん「観察力」にすぐれていて、災害被害などがあっても「復元力」があります。自分の得た「知」を、自分だけのものとせず周りに共有します。グローバル資本主義というか新自由主義というか、「囲い込み、独占し、商品化」するのとは対照的です。上映会でも販売した映画のパンフレットの中から少し引用すると

「ひとりの農家が一生の間に作物を研究し、栽培できる機会は限られています。自然が相手のため変動要因に多く、なぜ失敗したのか、なぜうまくできたのか、理由がわからないことも多いでしょう。それゆえに他人の経験を共有しあうことで、みんなの”知”が高まっていきます」

この姿勢を監督は一流の料理人とも共通すると書いていますが、それはまた民藝的でもあるなと感じます。


お話会と書きましたが、どちらかと言えば、参加者の皆様との対話という感じ。参加者の中で実際に現在農業に関わってる方にも前に出てもらいお話頂きました。映画に登場するお百姓さん同様皆さん想いを語って下さいました。作り手の方って実は普段黙々と対象に向き合って淡々と仕事をしているだけに、場さえあれば、伝えたいという想いはあるのでは?と思います。午前の部は特にそうですが、農業に関わっている方、ご興味のある方は思ったより多いでしょうか。この映画にも全面的に協力してらっしゃる農文協さんが上映会に合わせて書籍販売にお越し下さいましたが、結構お買い求めの方も多かったです。


監督が、百姓VS消費者とか自然農・有機農業VS慣行農業とかの対立構造、分断を生むような捉え方は避けたかったと仰っていたのが印象的でした。「ひめゆり」を観た時も感じましたが、ご自身の主張よりも出来るだけそのままを聞き取る、映し出すことを大事にされていると思います。監督ご自身民俗学者の宮本常一の系譜にあるからでしょうか。


映画会終了してから何日か経ちますが、映画会をきっかけにテマヒマにお越し下さる方が何人かいらっしゃって、感想などお話下さって嬉しいことでした。ご参加頂きました皆様はきっとお感じになったことが沢山あるかと思います。是非それを周りの皆さんに伝えたり、SNSを使って発信して頂いたりして頂けたら幸いです。そうすることで少しづつ何かが変わると信じてもいます。


柴田さん、農文協さん、大兼久さんはじめプラダクション・エイシアの皆様、準備も含め全面的にご協力頂きました浦堂認定こども園の職員の皆さん、そして当日ご参加頂きました皆様ありがとうございました!


当日お申込み無しでお越し下さった方も多数いらっしゃって、定員の100名には届きませんでしたが、大人75名、小学生以下4名の方にご覧頂くことが出来ました。ご心配おかけしました方もいらっしゃるので、蛇足ながらご報告しますと、なんとか赤字にはならずに済みました。

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テマヒマ

テマヒマは、大阪府高槻市にある、 民藝の器、暮らしの道具、 食に関する古書のセレクトショップ、 みそソムリエの作る発酵食品中心のカフェです。 ヴィーガン対応、ロースイーツもあります。 食に関するワークショップも随時開催中! 築90年の古民家をリノベーションした 隠れ家的空間で、お買い物、ランチ、スイーツをお楽しみ下さい。 Since 2018.10.01 哲学カフェはじめました。