継告

こんばんは。


民藝と発酵をモノサシに

食を通して暮らしの豊かさを提案する

古民家セレクトショップ&カフェ テマヒマ

プロデューサー,バイヤーの太田 準です。


先週のことですが、12/16に仕入れの旅で2年ぶりに益子に行ってきました。濱田窯さん、島岡桂さんで選ばせて頂きました。蔵出し市明け、1月中旬より順次メインテーブルでご紹介していきますのでご期待下さい。


翌12/17、東京に移動して,東京オペラシティアートギャラリーで巡回展「柚木沙弥郎 永遠のいま」、世田谷美術館で「TSUGU(つぐ)ミナペルホネン展」を観に行ってきました。柚木展も勿論素晴らしかったのですが、今日はミナペルホネン展の方の話を。 


テマヒマを始める前はファッションのお仕事に関わっていたのに、ミナペルホネンの代表が皆川明さんから変わってたのをお恥ずかしながら知らなかったぐらい、少しファッションから離れてしまっています。今回の展示会は、そのブランドの「継ぐ」という意味だけでなく「告ぐ」という意味も込めたと現代表の田中景子さんがインタビューに答えてました。その言葉の通り、ブランドとして大事にしているテキスタイル作りへの想いやストーリーを告げる、伝えるような展示でした。四半世紀で1000以上のテキスタイルを作ってきたということで、色•柄・技法もバリエーション豊かでしたが、ミナの企業内の話に留まらず、織機、刺繍、プリントなど工場の様子や職人(と呼びたくなる)の皆さんの声が見聞き出来たのがとても良かったです。皆川さんが掲げる100年続くブランドというのも、デザイナーの交代・継承していくと可能に思えますが、やはりそれを支えるモノ作りの技術や職人が続くかどうかの方が難しく、大切なことのように思います。

前回の「つづく」拝見した際、「特別」というタイトルでブログを書きました。ファッション業界の片隅にいてミナペルホネンというブランドを理解していなかったという自分自身の不明を恥じる告白でした。どちらかと言えば大量生産な無店舗企業から手仕事を扱う小さな個人店に立ち位置が変わったことも大きかったように思います。


例えば切り絵、消しゴムハンコ、マスキングテープを使ってテキスタイルデザインをするとか、工場でも刺繍のパターンを一針一針コンピューターに入力するとか、注染の型を重ねていって模様を作るプリントとか、もはや手仕事/手業と言ってもよいぐらいで、手仕事⇔機械生産/工業製品という単純な対比は意味が無く、そこに込められている想いが重要な気がします。


工業化、西洋化、美術が上・工藝が下というヒエラルキーへのカウンターとして約100年前に生まれた民藝。常々書いているように、民藝「運動」なので、モノや美意識だけでなく、生活全般に渡るライフスタイル提案でもあり、作り手(生産)・配り手(流通)・使い手(消費)の循環・エコシステム(生態系)でもあり、物事の見方・考え方の「モノサシ」でもあります。栁宗理時代に、父柳宗悦が提唱した民藝を拡張しようとしたこともありましたが、今の民藝というものも捉え直すことも必要かなと思います。ミナペルホネンは自らのブランドのことを特別な日常という言い方をしていたかと思いますが、例えば民藝は日常を特別にしてくれる存在(→民藝が特別なものではない!)だとか。そして民藝=手仕事ということでもないように思います。ジャンルやカテゴリー分けには興味はありませんが、生活工芸の文脈で語られるミナペルホネンも、民藝と隣り合わせのところにあるのかもしれません。展示会を出て公園を歩きながら、民藝的な洋服ってどんなだろう?って考えていました。技法とかましてやテースト的なことではなく、意味として。


展示会最後に、ミナのお洋服をリメイクしてさらに素敵に変化した展示がありました。金継ぎにも似て、それがまた使い続けられるというのは素晴らしいですね。


皆さん、どのようなクリスマスイブ、クリスマスをお過ごしでしたでしょうか?

私事ですが、本日誕生日で、53歳となりました。お祝いのメッセージを頂きました皆様ありがとうございました。53歳になってもこんな調子で、日々考え、悩み、迷いながら進んでいくのだと思いますがお付き合い頂ければと思います。


テマヒマは月曜日で飲食の営業は終了し、年内は27日、28日の2日間、蔵出し市(物販のみ営業)営業となります。土曜日11時オープンで皆様のお越しをお待ちしております。


それでは土日も好いモノ、好いコト、好いトキをテマヒマで。

今日も一日お疲れ様でした、好い夜をお過ごし下さい。おやすみなさい。

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テマヒマ

テマヒマは、大阪府高槻市にある、 民藝の器、暮らしの道具、 食に関する古書のセレクトショップ、 みそソムリエの作る発酵食品中心のカフェです。 ヴィーガン対応、ロースイーツもあります。 食に関するワークショップも随時開催中! 築90年の古民家をリノベーションした 隠れ家的空間で、お買い物、ランチ、スイーツをお楽しみ下さい。 Since 2018.10.01 哲学カフェはじめました。